『カレー作って』では作れない ― 非エンジニアのための生成AI開発入門
- 生成AI
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はじめに
先日、非エンジニアの方が社内アプリをAIエージェントを活用して開発しようとしていました。 そこでその方から、「AIエージェントをどうやって使ったらいいか」という質問をいただきました。
技術的な用語をそのまま並べても伝わりにくいテーマなので、今回は カレーの注文 に例えて説明してみました。 本記事では、そのときお話しした内容を整理してお伝えします。
AIエージェントは『コック』に例えるとわかりやすい
AIエージェントを、目の前にいる コック だと想像してみてください。
あなたが「カレーが食べたい」と伝えると、コックはカレーを作って出してくれます。 ただし、ここで出てくるカレーが 本当にあなたが食べたかったカレーかどうかは分かりません。
- 海鮮の風味が効いたシーフードカレーが食べたかったのかもしれません。
- やわらかい鶏肉のチキンカレーが食べたかったのかもしれません。
- それとも、スパイスが立ったキーマカレーだったのかもしれません。
コックからすれば「カレー」とだけ言われたので、自分の解釈で作るしかありません。 出てきたものが好みと違っていても、それはコックのせいではなく、 注文の仕方の問題 です。
『具体的に伝える』ことが、そのまま開発の質になる
AIエージェントに対しても、これと同じことが起こります。
「社内アプリを作って」とだけ伝えても、AIは無数にある実装パターンの中から、それらしいものを選んで出してくるだけです。 出来上がったものが業務にフィットするかどうかは、運任せに近くなります。
シーフードカレーが食べたいのであれば「海鮮を使ってほしい」、チキンカレーが食べたいのであれば「鶏肉を使ってほしい」と伝える必要があります。 これと同じように、AIに対しても 「どんな材料で」「どんな手順で」「どんな仕上がりにしてほしいか」 を具体的に伝えることが欠かせません。
ハーネスエンジニアリングという考え方
このように、AIエージェントに 何を・どこまで・どうやって やってもらうかを設計する取り組みを、私たちは ハーネスエンジニアリング と呼んでいます。
ハーネス(harness)は、馬具の「引き具」が語源で、「制御するための仕組み」というニュアンスがあります。 AIを自由に走らせるのではなく、目的の方向に向かって走れるように整えてあげる、というイメージです。
具体的には、次のようなことを意識します。
- 業務でどんなデータを扱っているか をAIに教える
- そのデータの中で、どこを確認すれば正しいと言えるか を伝える
- 避けてほしいパターン・やってほしくないこと を明文化する
- 完成形のイメージ(画面の使われ方や運用シーン) を共有する
社内業務の文脈や確認ポイントをAIエージェントに教えてあげることで、 実現したい内容が一気に実装しやすくなります。 逆に、ここを省略してしまうと、それらしいけれど業務に合わないアプリが出来上がってしまいます。
非エンジニアの方こそ、業務知識が最大の武器になる
ここまで読んで、「結局むずかしそう」と感じられたかもしれません。 ですが、本当に重要なのは コードを書く力ではなく、業務を言葉にする力 です。
- 普段、どんなデータを見て判断しているのか
- どんなときに「この数字はおかしい」と気づくのか
- 上長や他部署から、どんな観点で確認を求められているのか
こうした 業務に染み込んだ判断基準 は、現場にいる非エンジニアの方にしか言語化できません。 そして、その情報こそがAIエージェントにとって一番欲しい「材料」になります。
つまり、AI時代の開発において、非エンジニアの方は「コードが書けないから不利」なのではなく、 業務を一番よく知っているから有利 な立場なのです。
まとめ
- AIエージェントは、注文を受けて料理を出してくれるコックのような存在
- 「カレー作って」だけでは、欲しいカレーは出てこない
- 材料・手順・仕上がりを具体的に伝えることが、そのまま実装の質につながる
- AIに任せる範囲と伝え方を設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶ
- 非エンジニアの方が持つ業務知識こそが、AI開発における最大の入力になる
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